歌詞を大切に歌うという事。甲本ヒロトの歌い方

本日は「歌詞を大切に歌う」という事について書きます
以前に書いた「歌に感情を込める方法」や「歌のクセを直す方法」を読んでいただけると、より理解できると思います

まずはこの動画の1:50~見てください
山本晋也と甲本ヒロトの会話です

会話の内容ですが、

山本「ロックって歌詞が何だか分からない。桑田(サザン)なんかの責任もあると思うんだな。日本語をあんなふうにしちゃうってのはさ」

ヒロト「桑田さんや矢沢永吉さんは今までにないスタイルで歌ったからロックだと思う。でも僕が先輩の真似をしたらロックじゃないと思った。僕のスタイルはハッキリ歌うこと

てな感じの内容です
これは何を言ってるかと言うと、日本語の発音「滑舌」のことです

サザンの桑田は独特の滑舌のクセがありますよね(特にライブで)
例えば、「夢を~乗せて~走る~車道」が
「ん夢うぉ~乗ぉせてえ~走るぅ~しゃどぅ」みたいに

矢沢やB’zなんかも、こういう「日本語を英語のように発音する」歌い方をする場合があります
一方ヒロトは、日本語の発音そのままでハッキリ歌ってるんですね

以前も書きましたが、これは「どっちが良い」という事ではなく、その人のスタイルの問題です
日本語を英語みたいな発音で歌うと、歌詞にリズム感が出ます
(詳しくは「歌にリズム感をつける方法」を読んでください)
なので、サザンのような軽快な曲にはこの歌い方が合うんですね
矢沢やB’zも「ロックンロール!イェイ!」みたいな感じなら、英語っぽい滑舌のほうがカッコ良くなります

ヒロトの歌い方は、日本語の発音そのままハッキリ歌うので、歌詞の内容がストレートに心に響きます
歌に感情を込める方法」や「歌のクセを直す方法」に書きましたが、歌詞を大切にして感情表現をするなら、日本語の発音そのままで歌ったほうが良いんです

大事なのは、これらの歌い方を使い分けられるようになることです
使い分けができない人は、しっとりバラードもヒップホップも同じような歌い方しかできません
まぁ「これが俺のスタイルなんだ!」と、同じ歌い方で貫き通しても良いんですけどね

最近のロック歌手は、昔とは違う新しいスタイルの歌手がたくさんいますね
最近の流行はどちらかと言うと「歌詞を大切に歌って、ファルセットやハスキーボイスで繊細な雰囲気を出す」みたいな感じではないでしょうか?
まぁWANIMAみたいなパワー系もいますけど、最近はどのバンドも自然な日本語の発音で歌ってる気がします(英語の歌詞はもちろん英語の発音になる)
ビジュアル系はクセのある滑舌で歌う人が多いですけど

上記でヒロトが言っていたように、「先輩の真似したらロックじゃない」ですから、これからも新しいスタイルのバンドがどんどん出てくることを期待します

歌にダイナミクス(強弱)をつけて曲を盛り上げよう

前回のブログで、歌に感情表現を入れる方法を書きました
今回もバラードを歌うテクニックをご紹介します
それは歌のダイナミクス(強弱)のつけ方です

ダイナミクスとは「ダイナミックに(力強く)歌う」という意味ではありません
小さい声から大きな声までの差」がダイナミクスです
このが大きいと「ダイナミクスが大きい」という事です
なので、ずっと大きい声で歌っても「ダイナミクスが小さい」です
ずっと小さい声で歌っても「ダイナミクスが小さい」です

バラードは「最初は静かに歌ってサビで大きくなる」というのが定番です
あと、「1番のAメロ」よりも「2番のAメロ」の方が大きくなる傾向があります

ボリュームをパーセンテージで表すと
1番 Aメロ(50%)→Bメロ(60%)→サビ(80%)
2番 Aメロ(60%)→Bメロ(70%)→サビ(90%)
Cメロ(80%)→ラスト大サビ(100%)

曲によって違いますが、だいたいこんな感じですよね
エアロスミスのミスアシングなんかは最後にシャウトして120%くらい出してます

静かに歌うときは、大きく歌うときよりも息を吐く量が増えます
なぜなら声帯閉鎖が弱くなるからです。詳しくは→こちら
呼吸を少なくしてボリュームを下げるのではなく、声帯閉鎖を弱めたり、口の開きを小さくしたりして、ボリュームを下げる技術が必要です
呼吸を少なくすると「ボソボソ歌ってる」感じになります
なので、呼吸をしっかり吐くという意識は常に必要です。静かに歌う部分でも油断しないこと
特にAメロでコケると、「初対面の第一印象で失敗する」みたいな感じになって、後で挽回するのが大変になります
「俺はサビで大声を出せるからAメロはどうでもいい」とか考えないように

あとは、マイクとの距離である程度ダイナミクスを調整できますが、マイクの特性によってだいぶ変わってくるので難しいです
初心者は一定の距離で歌ったほうが無難かもしれません

バンドにおいて大事なのは、周りの楽器も曲の展開に合わせて強弱をつけることです
1番と2番ではドラムやベースの強さが変わったり、2番になったらキーボードが厚みのある音を入れてきたり、サビではギターがオーバードライブ入れたり・・・などなど
ボーカルもそれを聞いて、回りの楽器に合わせて強弱をつけるようにしましょう

【動画つき】歌に感情を込める方法

YouTubeに「歌に感情を込める方法」の動画をUPします
3回に分けてUPします。現在2回です

今回のまとめ
・声優や役者がセリフに感情を込めるのと方法は同じ
・感情によって顔の表情を変えるのも有効

・やりすぎは良くない
・歌い方にクセがある人は、まずそれを治す
・無声音を強めに出す方法もある

(無声音についての記事は→こちら

感情を込めるということは、ある意味で最も重要なことかもしれません
感情表現があるか無いかで、ただのカラオケになるか?それとも心に響くような歌になるか?の違いが出ます

感情表現というとビブラートとか思い浮かべるかもしれませんが、ちょっと違います
声優がセリフに感情を込めるのと同じ原理です

例えばアニメで「おかあさ~~~ん!」というセリフがあったとします
どんな感じでセリフを言うかは、場面によって違いますよね

お母さんが忘れ物をして呼び止めた?
お母さんに甘えたい?
お母さんが死にかけている?
お母さんに腹が立った?

などなど、状況によって言い方が変わります
喜怒哀楽を込めてセリフを言う、それを歌いながらやるだけです

こう言うと簡単なんですが、なかなか上手くできる人はいません
まずは歌わずに歌詞を朗読して、どうすれば感情表現できるか練習すると良いです
歌詞によっては平坦な内容もありますので、感情を込めやすい歌詞を選びましょう

ただし、感情を込めすぎるとウザくなってしまうので、ほどほどにしましょう
物語を語るように歌え」とよく言われます
主人公になると感情移入しすぎるんで、第三者の立場で語るってことですね

あとは、明るく歌いたいなら表情も明るく(^^)
悲しく歌いたいなら表情も悲しく(ToT)
顔の表情を変えると歌にも表情がつきやすいです


注意しなければいけないのが、歌にクセがあると感情表現が分かりにくくなります
例えばオペラや合唱みたいに「太い声」で歌うクセのある人
太い声で「せつない歌」を歌われても、心に響きません
さらに、オペラみたいに口をガバーッと開けると発音が不自然になり、自然にセリフを言うように歌えなくなります
逆のパターンで、口角を上げて歌うクセの人もいますが、何を歌っても「明るい声」になってしまいます
いくら喜怒哀楽を歌詞に込めても、クセで消されます

あとは滑舌のクセの問題です
例えば、外人が日本語を話すと
「私ぃはぁ アメェリカ じぃん でぇす」みたいになりますよね
こんなノリで日本語のバラードを歌うことです
「ん君ぃ~をぉ~抱ぁきぃしめっつぁぃ~~」みたいに
古い邦楽ロックの歌手がやってた歌い方ですね
これも感情表現が消されるし、妙にカッコつけてる感じがしますし、なにより昭和のにおいがします(笑)
アップテンポでリズムをつけたい時は、こういう歌い方もありなんですけどね)

「普通に喋るように歌う」ってのは、けっこう難しいものです
「歌はこう歌わなければいけない」みたいな固定概念がある人ほど苦手かもしれません
例えば「歌うときは口を大きく開けなければいけない」「喉仏は常に下げなければいけない」みたいなルールに拘りすぎる人です
まずはクセをとってニュートラルな状態に戻しましょう
歌い方のクセを直す方法は、こちらに色々書いてます



まぁどういう歌い方をするかは個人の自由ですけどね
カラオケは自分が気持ち良ければOKですし
ただし、ライブで人前でバラードを歌うとしたら、感情の表現がない歌を長々とやると客は飽きます
激しいロックなら勢い重視で感情なんて要りませんけど、アコギ弾き語りで平坦な歌い方だと、15分くらいで飽きちゃうと思います