桜井和寿 × 稲葉浩志 / Vocalist対談 の感想

以前「二井原実 × 稲葉浩志 ボーカリスト対談の感想」というブログを書きましたが、今度はミスチルの桜井さんとの対談動画がUPされました。

このお二人、地声に近い声質で歌うので、歌い方は似てる部分があると思います
1時間14分ある動画の中で、気になった部分を抜粋します

16:00~ (稲葉)ボイストレーニングは自分なりの方法でやっている。ちゃんと先生には習ってない
これは二井原さんとの対談でも言ってましたね。
前回の対談ブログにも書きましたが、稲葉さんはクセが強い歌い方なので、普通のボイトレ理論の枠には合わないような気がします

16:40~ (桜井、稲葉)若手の歌手はメチャクチャ上手くなってるし、ボイトレも理論的で詳しい
ロックの世界でも技術が要求される時代になってるんでしょうね

21:15~ (稲葉)若いころと声質はだいぶ変わった。喉の手術をしたこともあった
若いころの声は「良い」と思うこともあるし、「未熟」と思う事もある

22:30~ (桜井)小脳梗塞で血を固まらないようにする薬を飲んでたので、常に声帯が内出血してる状態だった。薬をやめて、声帯の固い部分をレーザーで焼いて柔らかくする手術を受けた。スティーブン・タイラーもやったらしい
手術後は元のコンディションに戻すのに苦労した
今までの固い声帯を使った「締め付ける発声」のクセを直すのに時間がかかった
血液をサラサラにする薬は、出血しやすくなる等の副作用がありますが、声帯にも影響が出るとは知りませんでした

26:50~ (稲葉)2日連続のときは2日目のほうが調子良い

27:50~ 他のシンガーの声が羨ましいと思うことはあるか?の質問に、Taka、Official髭男dism、宇多田(ヒカル?)の名前が出る
私もTaka(ONE OK ROCK)とヒゲダンはスゴイ上手いと思います
しかも桜井さんと稲葉さんと違って、キバらないで高音を出すんですよね(技術と言うより、持って生まれた声帯の要素のほうが大きいですけど)


28:40~ 発音するのが苦手な音 桜井さんは「い行」が苦手。稲葉さんは「あ行」が苦手
これは以前ブログでも書きましたが、母音によって高音の出しやすさが変わります
対策としては、あまり口を大きく開けないで「あ行の母音」を発声したり、口を横に広げすぎないで「い行の母音」を発声する方法があります。詳しくは以下の記事を参照ください
言葉ができるしくみ。詰まりやすい歌詞をスムーズにする
アゴをあまり開かない方がハイトーンが出やすい?

29:40~ (桜井)高い音に行く手前の音で力を抜いておくといい

30:40~ (稲葉)スタイルに幅がない。ファルセットも多様しない。結局自分の歌い方になる。 かすれた感じで軽く出す高音にあこがれるが、ファンが求めてない?
これは私もずっと思ってました。B’zの曲って歌い方が全部一緒なんですよね・・・かといって稲葉さんが高音をファルセットで発声したら、ファンはズッこけると思います(笑)
稲葉さんも桜井さんもハスキーボイスとは真逆の声ですから、苦手な声を無理にやろうとしても上手くいかない感じがします

48:30~ (桜井)歌詞を忘れる夢を見る
私も同じ夢を見ます。曲を全く覚えてない状態で、ベース持ってステージ立たされる夢・・・怖い

53:50~ (桜井)MCで歌の雰囲気を壊したくない

59:50~ (桜井)言葉でバンドの方向性を決めるのが嘘くさく感じる。個人個人の演奏スタイルの変化に合わせてバンド全体が自然に変化するやり方で今までやってきた

1:05:20~ (桜井)デタラメの言葉で歌詞を作ってると、自然と歌いやすい歌詞になってる
さっきの発声しにくい母音の話に通じます

1:06:00~ (桜井)歌詞を書こうと思うって辻妻を合わせるより、関係のない物事を繋げて作詞する
桜井さんの言うことは深いな~

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最初にも書いたとおり、稲葉さんと桜井さんは歌い方が近いと思います
そして、2人とも本格的にボイトレをやった訳ではなく、ほぼ自己流でここまでやってきたようですね
無理に苦手なスタイル(歌い方)には手を出さず、自分の得意分野に特化した感じがします
最近はこういう「個性が強い」ボーカルは少ないかもしれませんね

二井原実 × 稲葉浩志 ボーカリスト対談を見た感想

3年くらい前の動画ですが、ラウドネスのボーカル二井原さんと、B’zの稲葉さんの対談の動画です。マサ伊藤が司会してます
ボーカリストとして興味深い話を聞けます

以前の日記にも書きましたが、私はボーカルを研究するときに、「歌ってる声」と「普段の声」を比較します。そうすると発声方法が推測できるからです
あくまで想像ですが・・・

二井原さんは話し声がすでにハスキーボイス
声帯から空気が漏れて仮声帯も振動してる感じがする。声帯の健康的には悪そう
ちょっとハイトーン出しただけでシャウトになるはず
高音は出やすいが、声帯の表面が荒れるとコンディションが変わりそう
喉が太い(後で解説しますが、今は喉仏を下げる意識で歌ってるらしい)
太い喉で、喉仏下げて、枯れた声帯でシャウトしたら、そりゃ外人メタルバンドみたいな声出るわ・・・

稲葉さんも喉が太いし長い。喉仏がデカくて下の位置にある
二井原さんみたいに枯れてない。健康な感じ
声帯がしっかり振動してるので、地声成分が多い
地声は喉によく声が響いていて、声質は低い
で、歌うときは喉仏を上げて歌うんだと思う
普通の人が稲葉さんみたいに歌うと、喉が絞まったハイラリボイスになってしまう
喉仏の位置が低い人なら、ハイラリにしても良い感じになるんだと思う
地声の振動が強いから、ミックスボイスも強く出やすい
激しい曲もバラードも裏声使わず地声一本で歌うのは「男っぽさ」を売りにしてるのかなぁ・・・

・・・たぶんね(´・ω・`)
(ちなみに伊藤政則も喋りのプロだから良い声してる)

この2人の歌い方は普通の人には参考になりません
特殊な喉を持った人間が、特殊な歌い方をやってます。悪く言えばクセの塊
同じようなタイプの人は参考になるでしょうけど、普通の人はマネしないほうが無難

ちなみに私の声は、稲葉さんみたいに地声成分が強いですが、喉が細く、喉仏の位置が高く、地声も高くて軽いです
喉にあまり響かず口腔で響くので、厚みがない声です
だから、稲葉さんとは逆に喉仏を下げるようにして歌って、さらに地声成分が出すぎないように裏声を混ぜるようにしてます
プロの歌い方を真似るんじゃなくて、自分の喉に合った使い方を心がけてます


動画ではいろいろと面白い話をしてるんですが、私がビックリしたのは「2人ともデビュー当時は我流で歌ってて、ボイトレ知識も少なかった」ということ

二井原さんは、「暴飲暴食&過酷なツアーで28歳くらいで声が出なくなって、30代半ばで生まれて初めてボイトレやって、声が改善した
稲葉さんは、「昔はウォームアップ方法を知らなくて、ライブ前に無理に叫んで自滅してた(21:10~)
。。。おいおい(^^;)

14:50~2人ともイヤモニあると良いと言ってますね
モニタースピーカーの音量がデカすぎると耳が遠くなる。耳が遠くなると自分の声が聞こえなくなる。するとガナる(無理に叫ぶ)。すると声が出なくなって、さらに自分の声が聞こえない。の悪循環
イヤモニなら、そういう事はないそうです
このブログでも、ライブやスタジオで歌って疲れる人のために記事を書いてます→こちら

18:00~「リップロールは大事」という話をしてます
私も大事だと思います。以前に書いたリップロールの記事は→こちら

29:00~二井原さん「年齢を重ねるとボーカルは声が衰えてくる。その状態に合った曲をやるべき。と医者に言われた
稲葉さんも若い頃とは歌の感覚が変わってきてるそうです。あれ?と思うことが時々あるらしい
私が思うに、稲葉さんは若い頃よりも地声(普段の話す声)が低くなってる気がする・・・でも若い頃の軽い声よりも、今のほうが良い
最高音は衰えるかもしれないけど、低音~ほどほどの高音までは、昔より厚みが出て良いんじゃないか?と私的に思ってます

41:30~デスボイスについては2人とも経験はないようで、「喉を痛めないで、あんな声が出せるのは不思議」みたいな事を言ってます
デスボはコツさえ掴めば声帯に負担はかけませんし、パワーも不要になります。詳しくは→こちら

58:20~稲葉さんが「日本語でハイトーンを歌おうとすると母音が歌いにくいので苦労する」と言ってます
私もそう思います。母音についての記事は→こちらこちら
以前にも書きましたが、稲葉さんは日本語の発音を英語っぽくして歌ってます。そのほうが、歌いにくい母音を誤魔化せるので高音は歌いやすくなります

特に興味を引いた内容が51:00~55:00の二井原さんの話です
アメリカのレコーディングで英語の発音で苦労した。外人は英語の発音で喉に響かせる。これが日本人にはできない。俺もここ5年くらいで分かってきて、喉の奥(重心の低い位置)で響かせるようにしている。俺はゲロボイスって呼んでる
的な内容です
たぶんコレって「喉仏を下げる」って意味だと思うんですが、二井原さんが言ってる「ゲロボイス」ってもっと深い技術がありそう。舌の使い方や、喉~口の共鳴腔の使い方とか
二井原さんが54:00~実例でやってくれてるんだけど、確かに外人みたいな声が出てる
でも二井原さんの喉が特殊(声帯がハスキーで太い喉)だから、ちょっと参考にならない部分もある


外人は何であんな声が出るんだろう?といつも不思議に思ってます
喉の太さや、声帯の厚みなどの肉体の違いもありますが、発音技術の違いも大きいと思われます

日本人と外人では、母音や子音の数が違うんですよね
日本語の母音は「アイウエオ」だけですが、英語の場合は「ア」の発音だけでも5種類くらいあって、「アとエの中間」みたいな発音もあります
つまり外人は「多彩な喉&舌の使い方ができる」ということです
もちろんコレは歌にも生きてきます

これはいつか詳しく書いてみたいのですが、私自信が英語を話せないんで、書いたとしても、パクリ記事しか書けないんですよね
自分がまず習得しないと、自分の言葉で説明できないので、ちゃんと練習してから書こうと思います

声優やモノマネ芸人は歌も上手い?

声優歌手を兼業してる方って多いですよね
どちらも声を使う職業なんで、共通して使える技術があるんだと思います

声優さんは、喉をコントロールして多様な声を出せます
アニメでいろんなセリフを録音しますからね
例えば、声を枯らして「貴様ぁぁああ!」と叫ぶようなセリフとか、明るい声で「おはよう」とか、怖い声で「我輩に逆らう気か?」とか
これは声帯、喉仏、口、舌を上手くコントロールしないとできません
歌でもこれらのコントロールが重要になります
普段からセリフの練習をしているので、歌詞に感情を込めるのも上手いです(歌に感情を込める方法は→こちら
我々素人もそれなりにセリフを言えますが、プロのクオリティにはかないません

さらに、声優さんは元々の声質に恵まれています
最近よく「イケボ(イケメンボイス)」という言葉を聞きます(外見がイマイチでも、声がカッコイイとモテるらしいです)
以前ハスキーボイスの記事でも書きましたが、「癒される声」「落ち着く声」ってありますよね
「ヒーローっぽい声」の声優さんも、歌うとカッコイイです
まぁ中には「目玉の親父」みたいな個性派もいますけど
声質が良い声優が、ボイトレで練習して、さらにプロがレコーディングする・・・そりゃ~レベルが高くなりますよね

ちなみに私はイケボではありません
声がビリビリして口腔共鳴が強いです。ギャーギャーとうるさい声です
歌でも声がキンキンして、やたらと高音が共鳴してしまいます
なので喉仏が上がらないように注意してます
鼻が詰まって口腔共鳴が強すぎるのかな?なんて事も考えてます

あとモノマネ芸人もすごいです
モノマネも喉のコントロールが必要になるので、歌が上手い人が多いですね

このブログでも何回か書いてますが、モノマネが歌の練習になることがあります
ミックスボイスやヘッドボイスの練習として、ケンシロウ、志村けん、ルパン三世のモノマネが使えます
裏声が出せない人ならハードゲイの「フォーウ!」とか
喉仏を下げる練習なら秋川雅史とか良いかもしれません

注意することは、自分の憧れの歌手の真似をしても、逆効果の場合があります
あくまで「技術のコツを掴むため」にモノマネを使います
以前も書きましたが、基礎が出来てないうちにプロのクセを真似しないほうが良いと思います

カラオケよりバンドで歌うと疲れる人への対策方法

カラオケで歌うと大丈夫なのに、バンドで歌うと疲れる」ってのはボーカルなら経験あると思います
ベテランになると慣れてくるんでしょうけどね

原因としては、周りの楽器に負けないように声を張り上げてしまうケースが多いです
自分の声が聞こえないと、つい力が入ってしまいますよね
他にも、、、テンションが上がって身体が緊張したり
連続で歌って疲労したり(カラオケだと休めますから)
エアコンで乾燥してしまったり・・・などなど

まずは、ボーカルの声を聞き取りやすくするために工夫しましょう
スタジオは15畳くらいの狭いスペースなんで、ギターやドラムの音にボーカルが埋もれがちです
かといってマイクのボリュームを上げすぎるとハウリングします
ハウリングを防ぐ方法は、以前に「スタジオミキサーの使い方」や「マイクの使い方」に書いたので参考にしてください
簡単に言うと、マイクをスピーカーに向けないようにして、ミキサーのイコライザーのHiとLoを下げて、マイクになるべく口を近づけて歌う。です
これでハウリングを防止しつつ、声をしっかり拾えます

声が出てるスピーカーに背を向けてしまうと、当然自分の声が聞こえにくくなります
さらにマイクがスピーカー方向に向いてしまうため、ハウリングが起こりやすくなります
なので、ちゃんとスピーカー方向に顔を向けて歌いましょう

あと、極端に安いマイクを使わないこと。1万5千円以下のマイクを買うなら、スタジオ常設のSM58を使ったほうが良いです

周りの楽器がうるさすぎる場合もあるので、各パート適度なボリュームを心がけましょう
ボリュームだけでなく、ボーカルの帯域(音域)に音が重ならないように「楽器の音質」を変える方法もあります

ギターやベースが「自分の音が聞こえない」と言ってボリュームを上げすぎる事もあります
自分の音が聞こえないとアンプに極端に近づいて弾こうとするのですが、近づくよりも少し離れたほうが楽器の音がよく聞こえる場合があります
ボリュームを上げる前に、よく聴こえる「位置」を探してみましょう
ギターアンプの向きを変えるのも有効です。ギタリストにギターアンプを向けて、ボーカル方向に向けないようにするのも良いですね

私の場合ですが、どうしても自分の声が聞こえない場合は、片耳を塞いで骨導音を聞いて歌うこともあります
これはメリット・デメリットあるんですが、環境によっては有効な場合もあります。詳しくは→こちら

大事なのは「普段カラオケで楽に歌ってる感覚」を思い出しながらやることです
周りの音が爆音でも気にしないで、自分の歌い方を崩さないようにしましょう

声が小さい&聞き取りにくい人は、自分の声がよく通るように練習することも大事です
パワー(呼吸)も大事なんですが「響き」を上手く利用することが大事です
パワーだけで声量を出すと、すぐバテて喉を痛めるからです
詳しくはこちらの→「声量を上げる方法」を参考にしてください

ただし、声のボリュームは身体的な限界もあるので、良い声が出てるならボリュームに拘る必要もないと思います
プロの歌手でもボリュームが小さい人は沢山いますので

こちらも参考にしてください→ 喉のウォームアップ方法 喉に良い飲み物

先生に「良い例」と「悪い例」を見せてもらおう

ボイトレでもスポーツでも共通することですが、言葉で説明するよりも実際の動作でお手本を見せたほうが分かりやすいです
ボイトレでも分からないことがあれば、先生に「良い例」と「悪い例」を見せてもらいましょう
これが出来ない先生はダメなので、先生を変えましょう

例えば、「もっと喉を開いて歌って」と言われたら、「喉を開いた歌い方」と「締めた歌い方」を見せてもらいましょう
腹式呼吸を意識して」と言われたら「腹式の歌い方」と「腹式を使わない歌い方」の違いを見せてもらいましょう
そうすれば一目瞭然です

これを言われると困る先生もいると思います。それは「背中を使って声を出す」とか「後頭部から声を出すように」などの抽象的な表現をする先生です
それをちゃんとデモンストレーション出来るなら良いですが、出来ないとしたら適当な言葉を並べてるだけって事です
「歌には下半身が大切」と言うなら、下半身の使い方でどう声が変わるのかを見せてほしいです
お金を払ってボイトレに通ってるなら、遠慮しないで先生にどんどん質問しましょう

ちなみに私は、このブログに書いてある事は全部「良い例」と「悪い例」を見せられます
声帯や喉仏のコントロールはもちろん、「感情を入れる・入れない」の差や「歌い方にクセがある・ない」の違いで、どう歌い方が変わるのかを見せられます
こういうのはスポーツ指導の世界だと当たり前のことなんですが、ボイトレだとあまり見たことがありません(><)