言葉ができるしくみ。詰まりやすい歌詞をスムーズにする

今回もマニアックで難しい内容です・・・

今回のまとめ
・言葉によって、声の出しやすさが変わる
・高い声が出しにくい言葉もある。例えば「い」など
・フォルマントを理解することで、喉が絞まりやすい歌詞もスムーズに歌うことができる

「発声の仕組み」でも書きましたが、声帯は「ブー」というオナラみたいな音しか出せません。詳しくは→こちら
あいうえお・かきくけこ・・・と発音できるのは喉・舌・口などの働きです

じゃあ何で「ブー」が「言葉」に変わるかと言うと、口や舌の動きで「特定の周波数」が変化するからです(音声フィルタリング)
コンピュータの「ブー」という音でも、周波数を変化させることで人間の声を合成できます。初音ミクなどのボーカロイドや、テキスト読み上げソフトに応用されます

「あいうえお」の母音がどう決まるかは、「口の開く大きさ」と「舌の位置(前後)」で決まります

ウチにある本から引用しました 言語聴覚士の音響学入門 海文堂

何やら難しい表ですね
まず「a,i,u,e,o」と書いてある文字に注目してください。これは母音です

横軸は「口の開き加減」で、右に行くほど口が大きく開いて、周波数も高くなる
縦軸は「舌の位置(前後)」で、上に行くほど舌が前に出て、周波数が高くなる

つまり、「あ」は口を大きく開く。「い」「う」は口を小さく
「お」は舌が後ろに行く。「い」「え」は舌が前に行く
ということです

追記:「お」は他の母音と比べて周波数が低いが、「お~」と声を録音して、パソコンなどで音程を上げても、「あ~」や「い~」に変わるわけではない。
母音を決めているのは音(周波数)の高さではなく、各帯域の周波数がどういう比率になっているかです

さて、歌の話をします
前にも書きましたが、共鳴で変化するのは音質であって、音程は変化しません
高い声を出すなら、共鳴ではなく声帯の「ブー」の音を高くする必要があります
しかし、高い声を出しにくい言葉があります。例えば「い」という言葉です
これは、「い」の発音をするための共鳴腔の形が、声帯振動に影響してしまうという事(らしい)です

「い」がハイトーンで苦しくなる曲。GReeeeN:愛唄
ただ泣て~笑って~過ごす君にぃ~ 隣に立って~ れる事でぇ~
原曲キーだと男性には苦しい曲です

改善方法です
口をあまり横に広げないで「い」と発音してみてください
それだけで楽になると思います
「い」という音は、舌が天井に付いてれば「い」と聞こえます
口の形は「あ」「う」「お」でも、舌が天井に付いてると「い」の音を出せるので、楽に高音を出せる形を見つけてください

あるいは、「い」を微妙に「ひぃ」とか「うぃ」と発音してみてください
例えば
れる事でぇ~」を
ひぃれる事でぇ~」とか「うぃれる事でぇ~
などと歌うと、ハイトーンを歌いやすい場合があります
で、その歌いやすい感覚を身につけたら、ちゃんと「い」に戻して歌ってください
歌いにくい母音を誤魔化すのがクセにならないよう注意です


もし歌いにくい曲に出会ったら、歌詞を全部「ララララ~」や「ママママ~」や「にゃにゃにゃ~」にして歌ってみてください
ララララ~で歌えるのに、歌詞にすると歌えないのは、「い」「う」などの詰まりやすい言葉を上手く処理できないのかもしれません

自分で作詞するときは、こういうのも考えて作りたいですね
歌詞が歌いやすい曲は爽快感があります。逆にハイトーンで歌いにくい母音が出るとストレスが溜まります・・・(ちなみにX JAPANは歌いにくい母音が多い気がします^^;)

追記記事
アゴをあまり開かない方がハイトーンが出やすい?
無声音とは何か?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です