歌にリズム感をつける方法。強弱の場所と滑舌

今回のまとめ
・裏拍にアクセントを置いて歌えば、お経ですらファンキーに
・日本語の発音を英語っぽくして歌ってみる
・リズムがハネてるからと言って、歌もハネる必要はない
・黒人はヤバイ


今回は歌にリズム感をつける方法をご説明します
あくまで私が考えていることなんで、正しいかどうかは分かりません

まず一つ目の方法は、強弱をつけるポイントです
表拍に意識を置くか、裏拍に意識を置くかで歌い方が変わります

実験しましょう
手を叩いてリズムに合わせながら「南無妙法蓮華経」とお経を読んでみましょう
赤字の部分で手を叩きます
みょきょ
これが表のリズムです

次が裏のリズム。同じように赤字で手を叩きます
みょきょ

リズム感を感じない場合は、ちょっとテンポを上げて叩いてみてください
手を叩いた瞬間に、声も強くします yeah!
♪ なみょきょう 
♪ なみょきょう 
どうですか? お経がファンキーになった気がしませんか?
こんなリズムで木魚を叩かれたら踊りだしちゃいますよね

(ちなみに私の知人の僧侶のベーシストが本当にコレで叩いた)

ギターのカッティングと似てるんですが、要はどこに強弱を置いて、どこで音を切るかです

♪ この大空に~翼を広げ~飛んで~ゆきたいよ~ ♪
この歌も表と裏で比較してやってみてください

さて、次は滑舌の工夫です
先日に書いた「歌に感情を込める方法」で、「外人みたいな滑舌で歌うと、バラードの感情表現が消されるからダメ」と書きました
歌にリズム感をつけたいなら逆で、日本語を英語みたいな滑舌にします
「私ぃはぁアメリカじぃんでぇす」みたいな
ラップなんかはその典型ですね
ただし、やりすぎはウザくなるので注意です。

ちなみに、リズムがハネてるからと言って、歌も必ずハネる訳ではありません
WOW WAR TO NIGHT 時には起こせよムーヴメント
は、リズムは軽快ですが、歌は普通に歌ってます
だから楽しい歌と言うより、心に染みる歌になってます
(この曲はレゲエ?レゲエって裏のリズムって解釈で良いんですよね?)

歌詞の雰囲気を大事にしたいなら日本語の発音で歌う
リズムを重視したいなら英語みたいな発音で歌う
英語の歌詞はもちろん英語の発音で歌う。です

最後に、最近爆笑した動画を載せます
「黒人が怒ってる動画にビートを流したらヒップホップになった」
黒人のトークはビート重ねるだけで音楽になるのか・・・おそるべし

喉に良い飲み物。悪い飲み物

今回は喉に良い飲み物のお話です

まず覚えておくことは、声帯を水が通過することはありません
声帯の前には喉頭蓋(こうとうがい)というフタがあり、水や食物を飲み込むときはフタが閉まり、声帯の通路に流れないようになってます

もし喉頭蓋がブロックできなかったら、その下にある仮声帯や声帯が止めます
2重3重のブロックで、声帯を水が通過することはありません
声帯を通過して気管に入ってしまったら、反射的にセキが出て排出します
通過してしまうと、肺に雑菌が入って肺炎を起こす可能性があります(誤嚥性肺炎)

なので、「喉(咽頭・喉頭)に良い飲み物」はありますが「声帯に良い飲み物」はありません(笑)
まぁ上気道を潤すだけでも、十分に楽になりますけど

声帯を潤すとしたら加湿器を使うか、身体全体が脱水にならないようにする事です
なので、なるべくマメに水分を補給しましょう。利尿作用がある飲み物は良くないかもしれません
アルコールもダメです。呼気にアルコールが含まれると声帯が乾燥するらしいです
辛い食物も避けましょう。キムチ鍋を食べててムセたら、すごい喉が痛くなったことがあります
まぁ水が一番良いですよね。結局

↓ここからは私の個人的な意見です。科学的根拠はありません
温かい飲み物のほうが、筋肉がほぐれて良い気がします
某プロボーカリストが、ライブ前に脂っこいスープを飲むそうです。私も試しましたが確かに楽になる感じがします
ウーロン茶は喉の脂分が無くなって悪い気がします(あくまで想像)
喉が痛いときにポカリを飲んだら、なんかヒリヒリしました
オレンジなどの柑橘系も喉に刺激を感じるので避けます
のど飴も柑橘系は嫌いです。龍角散のど飴を愛用してます

これも想像なんですが、物を飲み込むときに喉仏などの骨が動くので、それがストレッチ効果を生み出してるんじゃないかと
喉が疲れたときに、水分だけじゃなく食事を摂ると楽になるんですよ
たくさんモグモグ・ゴックンすることで喉仏が動いて、筋肉がほぐれるんじゃないかと想像してます

追記:ちなみに、歌ってるときに喉仏が過剰に上がると、喉頭蓋が閉じぎみになって、肺~喉の通路を狭くしてしまうらしい

【動画付】正しいデスボイスの出し方。仮声帯発声。擬似ハスキーボイス

今回のまとめ
・仮声帯発声はファルセットなみに息を吐く(ベルヌーイ効果を使う)
・声帯は開いたまま仮声帯を締める
・喉仏を下げたほうが仮声帯が鳴りやすい
・「声帯が痛い」と感じたら、その方法は間違っている

・ボーカルフライで振動させる感覚とは違う


今回はデスメタルなどの歌唱で使うデスボイスの出し方を解説します
これは文章では説明しにくいので、↑の動画を参考にしてください

デスボイスと言ってもグロウルとかガテラルとかフォールスコードスクリームとかいろいろ種類があります
声帯を締めて出すボイスもあれば、弛めて出すボイスもあります

今回はその中でも「仮声帯」を使う発声を解説します
下水道ボイス」とか言われます
(私はデスボイスの正確な名称は分かりません。分類は他の方にお任せします)

まずは声帯の断面を見てください

ウチにある本から画像を借りました 解剖生理をおもしろく学ぶ サイオ出版

声帯ヒダ」が通常の発声で使う声帯です
その上にある「前庭ヒダ」がいわゆる「仮声帯」です
この仮声帯を振動させて音を出します
この下に肺があるので、息は下から上に流れます

何が難しいかと言うと、仮声帯を鳴らすには、喉を締めて仮声帯を寄せて、そこに空気を当てる必要があります
声帯が開いてないと、仮声帯を振動させる量の空気が流れません
つまり「声帯は開いたまま仮声帯だけを締める」必要があります

まぁ仮声帯を締めると言っても、完全に閉じるわけではありません
正確に言うと「寄る」です。寄って振動するんです
そんな器用なこと出来るのか?と思いますよね

実は、Youtube等でデスボイスを出してる方でも、これが出来ている人は少ないです
仮声帯発声と言いながら、声帯で「ぎゃぁぁ!」と歪みを出してる方が多いです
(声帯で歪ませるデスボイスもあるが、それは仮声帯発声とは呼ばない)

声帯で歪ませると声帯を痛めます、仮声帯メインで歪ませれば負担は軽いです
それに、声帯で歪ませると「ただの苦しそうな人間の声」になって、耳障りな高音がキンキン出るだけでカッコ良くありません
仮声帯中心に振動させると「人間じゃない声」になって、耳障りじゃない歪みになります
ギャギャーうるさい声を出すことがデスボイスではありません。本当に上手い人は心地良い歪みを作り出します(ギターの安いディストーションと、高級真空管アンプの違いみたいな感じ 笑)

さて、仮声帯を振動させるには、仮声帯を喉の筋肉で寄せて、そこに大量の息を流す必要があります
ベルヌーイ効果というものがあって、勢いよく息を吐くと、その周辺の圧力が低くなって、周りのものを吸い寄せます
シャワーを浴びていて、水にカーテンが吸い寄せられる現象です
(詳しく知りたい方は動画を検索してみてください)

喉の筋肉の力で仮声帯を寄せて、さらに呼気のベルヌーイ力(りょく)でも寄せる
W効果です。すると仮声帯が振動します

息をたくさん吐く必要があるので、声帯が地声の状態ではダメです
上記の動画を2つ見ていただければ分かりますが、地声の状態では声帯閉鎖が強く、声帯が空気抵抗になるので、息を多く吐くことができません
仮声帯を鳴らすにはファルセットなみに息を吐きます

なので、よく言われる「ボーカルフライで仮声帯を振動させる」の感覚とは違います
ボーカルフライは、声帯閉鎖を地声よりさらに強くして、息が吐けない状態になってます
これは「声帯も振動させながら仮声帯も振動させる」的なアプローチで、喉ベースのような音を出すときの方法です

さて、その練習方法ですが、これは文章では表現しづらいです。
以下の文章と、冒頭の動画を参考にしてください
※痛みを感じたら中止してください

目標は「声帯を開いて、仮声帯を締める」ですが、いきなりコレは難しいので、まずは「声帯も仮声帯も両方締める」から練習します

喉仏を下げます。おもいっきり下げます
(喉仏が動きにくい方は、まずそこから練習しましょう)
喉仏を下げながら口を縦に開きます。おもいっきり開きます
ムンクの「叫び」みたいな顔になりましたか?

その顔のまま、胸の前で両手を合わせて、息を止めてギュ~~ッと押し付けましょう
全力で硬い物を押しつぶす感じです
そのときに、息が漏れると「ウッウッウッ・・・」みたいな「しゃっくり」みたいな音が、ほんの少し出ませんか?
これが仮声帯振動の元です
で、今度は「ウッウッウッ・・・」じゃなくて「オッオッオッ」と言ってみましょう

このときに喉の奥で「キュッ」と締まっている感覚があると思います
感覚的には、「アゴのすぐ下」あたりを締める感じです
その部分を締めたまま、声帯を開いて息を吐きます

感覚が分かってきたら「オ~~~」と伸ばします
声帯は閉鎖をどんどん弱めて、息の量をファルセット並みに吐きます
(動画1のビニール袋に息を吐いてる部分を参考にしてください)

この練習の良いところは、「声を出さなくても仮声帯を寄せる感覚が掴める」ことです。いきなり声を出しながら仮声帯の寄せ方を探ると、その過程で喉を痛める可能性があります。
この練習は、最初の段階でまず仮声帯を寄せる感覚を掴んで、取得したら声を出すようにしています

練習は出しやすい音程でやってください。低音のほうが出しやすいと思います

純粋に仮声帯だけが振動すると、声帯は振動しません
喉仏を触って、地声と同じような振動をブルブル感じたら、仮声帯じゃなくて声帯振動になってます
まぁ慣れないうちは声帯振動も混じってくると思います
実際に歌うときは、仮声帯と声帯の音を混ぜて出したり、純粋に仮声帯だけの音を出したりと、色々と使い分けます

喉仏は下げたほうがやりすいと思いますが、慣れると喉仏を上げても出来るようになります
あとは舌や口の形を変えたりして、いろんなバリエーションを生み出します(動画2)

これが出来ると、ハスキーボイスみたいな声も出せます
ただし、あくまで擬似ハスキーなんで、本物の洋楽アーティストみたいに歌うには素質と練習が必要です

最初はかなり息を吐く力を必要とします。腹横筋のパワーが必要です
しかし慣れてくると、そんなに息を吐かなくても出せるようになります
ベルヌーイ効果に頼らず、筋肉で仮声帯を寄せるコツが分かってくるのです
そうなると、かなり楽にデスボイスが出せますし、息を節約できるのでデスボイスでロングトーンも出せるようになります

仮声帯発声のコツは、「ゲロを吐くように」とか「咳こむように」とか言われますが、「ゲホッ!ゲホッ!」みたいに声帯に力を入れてやってしまうと、かなりの負担がかかります
「声帯が痛い」と感じたら、その方法は間違っています
あと、他人の方法が自分に合うとも限らないので、この文章もあくまで参考にしてください

声帯閉鎖についての知識をつけると、デスボも理解しやすいです→こちら
5/11追記:非整数次倍音(ノイズ)の話を追加しました→こちら
デスボイスの声帯を撮影した動画を追加しました。Uの字になってる骨みたいなやつは喉頭蓋。その奥に仮声帯、さらに奥に声帯があります。
デスボイスの時は仮声帯が寄って振動しています
普通に声を出しているときは仮声帯が離れて、奥の声帯まで見えます

【動画付き】なぜ高い声が出るのか?良いハイトーンと悪いハイトーン

まずこの声帯の動画をご覧ください(ちょっとグロい映像です)
女性の声帯のようで、男性よりも声帯閉鎖が弱い感じです
高音になるにつれて声帯が伸びて、低い声で縮みます
声帯の間が広がって息が漏れるとファルセットになります
ちなみに、ゆっくり振動してるように見えるのは、振動が早すぎてカメラで撮れないからです。実際は1秒に数百~数千回で高速振動してます

声帯閉鎖のコントロールでも書きましたが、高い声が出る仕組みについて補足します

声帯はギターの弦に例えられますが、人間の喉は管楽器みたいなものです
ただし、ギター弦に例えると説明しやすいので、今回はギター弦をイメージしてください

ギター弦の音程を高くするには3種類の方法があります

1、フレットを押さえる(弦の振動する部分を短くする)
2、弦を引っ張る(弦のテンションを上げて固くする)
3、細い弦に変える(細い物体のほうが振動スピードが上がる)

これを声帯に当てはめると

1、声帯の振動する部分を短くする
2、声帯を引っ張る
3、声帯の振動する部分を薄くする

となります(実際はもっと複雑なのですが、簡略してます)
絵で説明すると

一番左は普通の地声です。全体が大きく振動しています
1の状態は、声帯閉鎖を強めて上半分しか振動してません
2の状態は、声帯を引っ張ってます
3は声帯閉鎖を弱めて声帯の間に空間があります。すると表面の薄い部分しか振動しません。厚いものが振動するより、薄いものが振動したほうが高音が出やすくなります

1~3どれでも高い声を出せるのですが、
1の声は、苦しそうな地声になります
2の声は、声帯閉鎖が弱ければ「フォーーウ」という裏声。閉鎖がほどほどならミックスボイス。閉鎖が強すぎると苦しそうなハイトーンです
3の声は、声帯がストレッチされてれば「フォーーウ」という裏声になり、ストレッチされてなければ低い声のファルセットになります

1の方法はダメです。良い声が出ませんし、負担も大きいです
一部の激しいヘヴィメタルでしか使いません

2と3は裏声です。声帯が伸ばされて、さらに声帯閉鎖が弱まって振動する部分が薄くなるのです

で、地声から裏声の間にあるのがミックスボイスです
地声の状態から声帯を伸ばしつつ(2)、声帯の振動する部分を薄くする(3)
ONとOFFで切り替えるのではなく、その中間の状態があるわけです
まず裏声をしっかり出せるようになったら、地声と裏声を繋いでみましょう
具体的な練習は→こちら

ちなみに、ボイトレ系のサイトで「1の状態でハイトーンを出す」と説明してる所がたくさんあります
絵が間違ってるだけなら良いんですが、レッスン内容も間違ってたりします
プロのトレーナーでも勘違いしてる人がいるので注意しましょう(><)

歌にダイナミクス(強弱)をつけて曲を盛り上げよう

前回のブログで、歌に感情表現を入れる方法を書きました
今回もバラードを歌うテクニックをご紹介します
それは歌のダイナミクス(強弱)のつけ方です

ダイナミクスとは「ダイナミックに(力強く)歌う」という意味ではありません
小さい声から大きな声までの差」がダイナミクスです
このが大きいと「ダイナミクスが大きい」という事です
なので、ずっと大きい声で歌っても「ダイナミクスが小さい」です
ずっと小さい声で歌っても「ダイナミクスが小さい」です

バラードは「最初は静かに歌ってサビで大きくなる」というのが定番です
あと、「1番のAメロ」よりも「2番のAメロ」の方が大きくなる傾向があります

ボリュームをパーセンテージで表すと
1番 Aメロ(50%)→Bメロ(60%)→サビ(80%)
2番 Aメロ(60%)→Bメロ(70%)→サビ(90%)
Cメロ(80%)→ラスト大サビ(100%)

曲によって違いますが、だいたいこんな感じですよね
エアロスミスのミスアシングなんかは最後にシャウトして120%くらい出してます

静かに歌うときは、大きく歌うときよりも息を吐く量が増えます
なぜなら声帯閉鎖が弱くなるからです。詳しくは→こちら
呼吸を少なくしてボリュームを下げるのではなく、声帯閉鎖を弱めたり、口の開きを小さくしたりして、ボリュームを下げる技術が必要です
呼吸を少なくすると「ボソボソ歌ってる」感じになります
なので、呼吸をしっかり吐くという意識は常に必要です。静かに歌う部分でも油断しないこと
特にAメロでコケると、「初対面の第一印象で失敗する」みたいな感じになって、後で挽回するのが大変になります
「俺はサビで大声を出せるからAメロはどうでもいい」とか考えないように

あとは、マイクとの距離である程度ダイナミクスを調整できますが、マイクの特性によってだいぶ変わってくるので難しいです
初心者は一定の距離で歌ったほうが無難かもしれません

バンドにおいて大事なのは、周りの楽器も曲の展開に合わせて強弱をつけることです
1番と2番ではドラムやベースの強さが変わったり、2番になったらキーボードが厚みのある音を入れてきたり、サビではギターがオーバードライブ入れたり・・・などなど
ボーカルもそれを聞いて、回りの楽器に合わせて強弱をつけるようにしましょう