ロウソクの火が揺れないように歌う練習は良いのか?

結論を先に書きます

・ロウソクの火を揺らさないで歌うのは、小さい声を出すための練習ではなく、無駄なパワーを使わず、「共鳴」でしっかりした声を出すための上級練習

・初心者はやらないほうがいい

・ポップスはファルセットも使うので、火はどうしても揺れる

・アナウンサーや声優の方には良い練習


人間は息を吐かないと声を出せません
ギターの弦は息がなくても音がでますが、管楽器は息が必要です
人間の声は管楽器みたいなものです

声帯閉鎖のコントロールで解説しましたが、声帯閉鎖は弱いほうが息がたくさん出ます

地声=声帯閉鎖が強く、息があまり口から出ない
裏声=声帯閉鎖が少し緩んで、ほんの少し息の量が増える
ファルセット=声帯閉鎖が弱く、息がスカスカと漏れてる状態

静かな声で「ヒソヒソ話」してる状態がファルセットです
口の前にティッシュなどを垂らして、「あ~~」と声を出してみてください
地声だとティッシュは揺れないけど、ファルセットだと揺れるはずです

ロウソクの火を揺らさないで歌う」という練習方法をよく耳にします
揺らさないで歌うには「地声~裏声」で歌う必要があります
無駄に息を強く出したり、よけいな力で叫ぶと、火は揺れてしまいます
そうならないように、「無駄なパワーを使わず共鳴を使ってボリュームを出そう」という練習です。上級の練習だと思います
「共鳴を上手く使えない → 無駄に声を張り上げる → 息が多くなる」という事です
(共鳴については何個か記事を書いてますので、以下のリンクをご参考ください)
声のボリュームを上げるには?
喉仏と口で音質をコントロール
固有振動について(難しめ)

しかし、火が揺れるのが必ずしも悪い訳ではありません
ポップスではファルセットも使いますし、ハスキーボイスの人なんかは息漏れが多いです
ジャンルに合った声が出てれば、「火を揺らさない」なんて事に拘る必要はありません

あと「火が揺れないからOK」という訳でもなく、喉が閉まって苦しそうな地声を出している人は、口から息が出てませんので火は揺れません
「火が揺れる or 揺れない」で「良し悪し」は判断できません

特に初心者の段階では、「声帯閉鎖が強すぎて息を吐けてない人」が多いです
その段階で「あまり息を吐いちゃダメ」という意識を持ってしまうと、よけいに悪化する可能性があります
初心者のうちはしっかり息を吐く意識を持って、だんだんと上達したら無駄を無くしていけば良いと思います
何事も練習には段階があります。いくら良い練習法だとしても、相手のレベルや発声状態によっては逆効果になる場合があります
↑とは逆パターンで「声帯閉鎖が弱すぎて、スカスカ息が漏れてファルセットになってしまう人」なら、火を揺らさない練習は良いかもしれませんが、まぁ普通に声帯閉鎖の練習をした方が上達すると思われます

火を揺らさない練習は、アナウンサーや声優の人には良いと思います
アナウンサーの世界では、特に「マイクを吹くな」と言われます
「はひふへほ」を発声するときなど、「はっひっふっ!」と過剰に息を吐くとマイクに「ボッ!」と雑音が入ってしまいますので良くないですね(それを防止するためにポップガードというものがあります)

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